ikod_ikotのブログ

ときどきハースストーンをやります。

天下一ヴドゥ祭 カード事前評価振り返り & 環境所感

ちょっと遅めになってしまいましたが、天下一ヴドゥ祭、カード事前評価を振り返ってみようと思います。事前評価の記事はコチラ:

ikod-ikot.hatenablog.com

今回はヴドゥ祭実装から僅か2週間以内で衝撃的なナーフによるバランス調整が入ってしまったのが、正直なところとても残念でした。経験上、新拡張のカードが出たばかりの時には目玉カード(今回はズルジン)を使ってみたいプレイヤーが多く、それらを中心としたメタが回り、徐々に対策されると同時に多くのデッキが洗練されていきます。ある程度環境が落ち着いてきて初めて"実は強かった/弱かった"カードが明らかになってきて、それらを事前評価と比較するのが醍醐味でした…が、今回はこの様な新カードやデッキの考察が深まる前に環境が激変してしまったので、しょうがない事ではありますが、事前評価がどれくらい的を射ていたのか、少々計りづらい結果となってしまいました。

…とはいえ明らかな当たり外れがわかるものも多いので、今回は各クラス毎に環境デッキを振り返りつつ注目カードをピックアップしてみたいと思います。

(追記: この記事をだらだらと書いている間に、まさかの2度目のナーフが発表されてしまいました。冷血、狩人の狙い、炎の舌のトーテム、エメラルドの呪文石…思う事は色々ありますが、ひとまず置いておいて環境振り返りに専念しようと思います(なげやり)。)

事前評価記事での記載内容は青色で表示しています。

ドルイド

環境初期は(前環境と変わりなく)各種OTKや理不尽ムーブでヘイトを買っていたものの、繁茂&滋養というドルイドの本体ともいえるカード2種のナーフを受け、ついに"懲役"入りとなりました。ナーフ前は暴走の咆哮などを利用したビーストドルイドやゴンクOTKなども登場しましたが、結局マナ加速→大量ドロー大量装甲虫害→やりたいことやる…というデッキと考えれば、一見多様なドルイドデッキも一部を除けばほぼ同じ動きだった様に思えます。

暴走の咆哮

急襲付与はなかなかポイントが高い。ガイストで呪文石回帰を消されても、フラワーパワーを介さずにハドロを割る目が出てくる。単純にアグロ相手に最速でハドロを置いておくというのも手だ。ただゼンティーモ呪術を考えると、今期に挑発ドルイドが生き残れるかは不安だが…

カードの強さ: ★★★★☆ 採用頻度: ◉◉◎◎◎

ラプターのロア・ゴンク

放っておくと最低でも1点AoEが毎ターン飛んでくる…が、さすがにドルイドといえどぼこすかミニオンを律儀に殴っていてはライフが持たないのではないか。折角虫害でアグロの猛攻を防いでも、自分で殴りに行っては本末転倒だ。相手が奇数パラなどの横並べデッキにも関わらず8T目以降に自分のライフに余裕がある時はしっかり殴りにいけるが、かなり限定的な状況に思える。精霊との申し訳程度のシナジーも、少なくとも今のドローお化けュリオンには必要のないものだ。

カードの強さ: ★★☆☆☆ 採用頻度: ◉◉◎◎◎

とはいえゴンクの一見バグの様な仕様を正しく把握して最初にOTKを作成した方はお見事。この使い方は完全に想定外でした。同じく仕様の理解が違ったカードとしてアンダテイカがありますが、こちらは事前情報が曖昧だったので無限挑発ドルイドに組み込めたのは意外でした。

ダ・アンダテイカ

見て分かる通り8マナとしては破格の能力。専用構築デッカーの腕の見せ所だ。アストラル・タイガーで無限に使用可能…な訳ではないらしいがまだ仕様がはっきりしないので何とも。使い回し出来るとしたら魔女刻無し=虫害&DK採用可能な挑発ドルイドが誕生してしまう気もするが。断末魔ハンターやケンゴータイプのコンパラなら十分採用候補になりそうだが、この1枚で勝負がひっくり返るほどではない上に構築を縛る必要があるので、色々な派生デッキの中の1タイプという感じになりそうだ。

カードの強さ: ★★★★★ 採用頻度: ◉◉◉◎◎

アンダテイカの方は面白デッキではよくみかけますが、環境入りレベルのものは見ませんね。過大評価気味でしたが、カードパワーは十分。特にDKやクエストといった無限リソース系が落ちる来年度はもう少し活躍してくれるかもしれません。

他のカード、デッキタイプは概ね低評価だったのは間違いなかったと思います。

獰猛な強襲兵 カードの強さ: ★★★☆☆ 採用頻度: ◉◎◎◎◎

ラプターの精霊 カードの強さ: ★★☆☆☆ 採用頻度: ◉◎◎◎◎

樹木会話師 カードの強さ: ★★★☆☆ 採用頻度: ◉◉◎◎◎

唯一ローティは新ミッドレンジドルイドに期待して高めに評価しましたが、正直まだ一度も使われた事のないカードとなってしまいました。外れたな。

戦ドルイド・ローティ

いわゆるいぶし銀枠。4/2急襲として使われる事が多そうだが、奇数パラディンには1/6挑発、偶数ウォーロックには猛毒、なぎはらいにスペダメ+1、と「あのデッキにはこのカードが結構刺さるんだけどなぁ…」というテック枠をたった1枚に圧縮出来るのは強い。性悪ドルイドにも採用出来るだろうが、スペダメやケレセスとの兼ね合いを考えると、低マナスペルも活用する性悪でないタイプのミッドレンジドルイドが組めるのではないか。獣を絞って肉食獣の本能や暴走の咆哮で上振れギミックが組み込めるなら強そうだ。

カードの強さ: ★★★★☆ 採用頻度: ◉◉◉◎◎

なかなかパワーが見えづらいのはわかっているけど、加工師ケンゴーしかりこういうミニオンには高得点付けたくなる。

ナーフ後はメックトゥーンドルイドや亜種としてハッカードルイドが出てきていますが、はっきりいってガイストやジヒィで対策されると殆ど勝ち目のないデッキなので、あくまで大会専用or隙間デッキの類だと思っています。ハッカードルイドのアイディアは事前評価でも言及していますが、リーサルの安定性は想定以上ではありました。ドルイドさんほんと装甲の化身。飛び掛かりの追加もかなり大きいと思います。

魂剝ぐロア・ハッカー

ケガれた血はガイストで全て吹き飛んでしまうが、お互いに混ぜて自分だけヒーメットで飛ばすという荒技もある。メックトゥーンプリのヒーメットを打つタイミングを牽制出来る点は嬉しいか…自壊手段がなければどのみち心霊絶叫で返されてしまうが。残念ながらデッキが空でも確定リーサルとはならない仕様だが(理解が正しければ)ドロー時ダメージはファティグ込みで3+1→6+2→12+3→…と増えるので、トグワグル→ハッカー→呪文石+回帰などで大量バーストは狙える。ただドリームペタル栽培師でもマナが足りないのが厳しい。まずハッカーを練気回帰や栽培師キューブなどでうまく自壊し、自デッキでケガれた血を多少増やしつつ他のカードを引き切り、その後トグワグル回帰で一気にバースト…という手段もあるが当然こちらのダメージリスクも高まる。WoWの元ネタが有名な様だし、実用というよりはフレーバー補強の為のレジェンドではないだろうか。

カードの強さ: ★★☆☆☆ 採用頻度: ◉◎◎◎◎

飛び掛かり 強い。ドルイドの0マナスペルは危険。究極後にも使えるし、競売人でチャリチャリも出来る。

ハンター

いまやレクサー君ではなく純然たる環境の中心となったレクサーさん。間違いなくそのパワーの源はご主人様の呼び出し、加えてスペル/ハイブリッド系ならズルジンでしょう。

ご主人様の呼び出し

こういう「構築を縛ってOPにする」カードは一旦バランスの良いデッキが組めれば後は無双。招集系の様な事故もなく、ミニオンを獣に染めるのはハンターなら望むところ。そして同じく期待大の新カード大自然の報復との完璧なシナジー、今回のハンターは一番の注目株だろう。狂乱で埋めたイノシシ等を一気にドローという線もあり得るが、素直にミッドレンジハンターや秘策とのハイブリッドが強そうだ。

カードの強さ: ★★★★★ 採用頻度: ◉◉◉◉◎

ゼンティーモと並んで今の所一番強いカードなのでは。

ズルジン

ヒロパは雄叫びのおまけにも思えるが、DKレクサーと違って相手のフェイスを削り抜けるゲームプランを変えない点はある意味長所…10コストという重さと相反する気もするが。雄叫びの強力さは言うまでも無いが、追跡術を使っていると10T以降という事も相まってデッキ切れを起こしそうだ。一気に盤面を作ってもしも攻めきれなかった場合はすぐにジリ貧になってしまいそうなので、プレイのタイミングはなかなか難しいだろう。ヒロパのバリューの心もとなさが、適当にDKになっておいて後からズルジン、というとりあえずムーブを許さない形となっている。今期強そうな獣&秘策ハンターにはその重さからあまりマッチしないかもしれない。スペルハンターはもちろん強化だが、だいたいこっちへ来い!でも攻めきれない時に急速に息切れするイメージなので、7〜9T目をやり過ごせる様にデッキを少し重めに組まないといけないかもしれない。DKもズルジンも偶数だが、呪文石や相棒がないのでちょっと微妙そうだ。盤面クリアには使えると思うので、コントロール偶数ハンターにならチャンスがある?

カードの強さ: ★★★★★ 採用頻度: ◉◉◉◎◎

ハガサほど頻繁に見るかというと、その重さから少しだけ採用頻度は下がる気がする。星3.5ぐらいの気持ち。今まで目玉のヒーローカードはとりあえず推しとけば間違いなかったので、そろそろ地雷が…いやでも流石にこの雄叫びは強いと思うけど。

ポーもナーフ後トップレベルに見る様になったカードですが、ご主人様の呼び出しの発表前だったのでこちらは評価自体は低めでした(一応全公開後に言及はしています)。

スプリングポー

ファイアフライの癖を強くした様なミニオン。ハンターにとって小回りの効く1打点は貴重…な筈だったが、現状はキャンドルショットが既にその役目を果たしてしまっている。ケレセス型のデッキにショットと併せて入れる可能性もあるが、獣シナジーを活かして寧ろミッドレンジハンターにショットにもなるミニオンという形で入れる方がまだ良いかもしれない。

カードの強さ: ★★★★☆ 採用頻度: ◉◉◎◎◎

現状の多くのデッキではキャンドルショットで十分そう。毒虫使いとのシナジーは強力なので、一風変わったコントロールハンターでも使えそうだけど、うーん…クエストハンターには勿論必須。

ただ致命的に取りこぼしていたのは、森林オオカミとのシナジー。カード2枚を使うとはいえ、合計3マナで4点を出しながらオオカミを場に残せます。3T目ゴロツキに対してもボードが取り返せるこの動きは、個人的にはハイエナとのシナジー以上に重要な点だったと思っています。勿論レイザーモーでの猛毒やアタック付与も強力です。(ちなみにクエストハンターも達成速度がかなり上がって強くなっています。毒虫使いも抜いて獣シナジーをメインにした型が好み。)

秘策ハンターでは覆面選手がやはり強力な新カードでした。

覆面選手

マッドサイエンティストを考えれば非常に強力な能力。マナを稼ぐ事を考えればメイジだが、3T目に条件を発動するのは困難。かといってパラディンなら鐘を鳴らす見張りがいる。デッキ圧縮も含めてやはりハンターでワンダリングモンスターから繋ぐのがベストか。盤面が空の状態で蛇系の秘策でも良い。実際にどれくらいの採用率になるかはまだわからないが、このカードが環境に居ると不利トレードとわかっていてもワンダリングを発動せざるを得ない点は脅威だ。9号型の秘策ハンターはネズミ罠を入れやすくなるというメリットもある。

カードの強さ: ★★★★★ 採用頻度: ◉◉◉◎◎

決して常に発動出来る能力では無いが、このカードが存在するだけで秘策に対する動きが180度変わり得る…という影響力の強さを考慮して満点。

対戦相手は5T目の呪文石に備えた盤面や手札を用意したいところですが、その前にこのカードの処理を強要されるのが非常に辛いポイントです。ミニオン主体のデッキだと、秘策に守られた覆面選手と後続に一生攻め続けられる展開もままあります。

一方で似たカードのブラッドスカルプの戦略家はあまり使われませんね。エサ付きの矢も使われると厄介なんですが、こっちへ来いと同じく、カード自体というよりも呪文石やDKズルジン等のデッキありきの強さの様に感じます。

ブラッドスカルプの戦略家 カードの強さ: ★★☆☆☆ 採用頻度: ◉◎◎◎◎

エサ付きの矢  カードの強さ: ★★★☆☆ 採用頻度: ◉◉◎◎◎

今回のハンタークラスカードでもっとも意外だったのは、大自然の報復の評価でしょう。

大自然の報復

危険な香りしかしない。昔なら「レクサーくんはトレードする暇あったら顔面いくから」と囃していたが、最近はバリバリボードで圧してくる。ブームズーカと一緒に使わせたいのだろうしキンクラや電デビ復活も夢があるが、うまくトレードで一旦倒れてくれるシーンを想像すると寧ろミッドレンジや呪文石ハンターが非常に強力だ。このカードのケアでトレードを強要出来る点も対アグロでは嬉しい。コンボ前提ではあるので、手札の消耗をどう捉えるかが難しいか。

カードの強さ: ★★★★★ 採用頻度: ◉◉◉◎◎

急襲や猟犬でもない限り盤面が取れていなければ完全にくさるカードなので、獣シナジーも相まってデッキはかなり選びそう。でも強いとは思うので採用頻度は3。

一応クセの強さから採用頻度はちょっと抑え気味に評価しましたが、それでももっと頻繁に使用されるカードだと予想していました (最近ようやく採用されているデッキも登場しつつはあります)。「ハンターはボード取るぐらいなら顔だから」「そもそも獣が場に残せないから」という意見もありますが、このカードがあまり使われない理由は何かもっと深い所にある気がしてなりません。狂乱やレイザーモーのバフをメインにして獣を強くするから、素で復活する分にはいまいち…とかですかね?識者の意見求む。

メイジ

新環境のメイジはコントロール、アグロ、両方の亜種として奇数メイジが実用的なレベルまで強化されました。とはいえドルイドやシャダデッキが存在する以上メイジの台頭は厳しいだろう…というのが予想でしたが、ナーフ後にはじわじわと台頭している様です。ナーフ前環境で考えればあまり外したとも思っていませんが、全体的にもっと奇数メイジのポテンシャルには言及すべきでした。

放火魔

黒猫に似ているが、軽いスペルの少ない奇数メイジではスタッツの分こちらも強力。半端にジャングルの守護者など出していると、ドローと無理な処理の2択を強いられてしまう。コントロールメイジでもDKヒロパの様にかなり楽に効果を発揮出来そうなので、好みで採用する人も出てきそうだ。

カードの強さ: ★★★★☆ 採用頻度: ◉◉◎◎◎

今はメイジ自体がそこまで多くは無いので、とりあえず採用頻度2。今後の発表カードで上がる事を期待。

ドラゴンホークのロア・ジャナライ

ラグナロスさん復活に大喜び。DK後なら7マナで4/4+8/8+8点除去+8点回復の強さは言うまでもないだろう。条件の8ダメージというハードルは、例え精霊がなくともコントロールメイジならそこまで辛くはない筈だが、7T目テンポに沿って出せるかというとヒロパシナジー主体で組めないと難しい。上に書いた様にヒロパコントロールメイジでちょうど(性悪)→天文術師→ジャナライと遷移してきた枠で中〜終盤の要として採用されるのではないか。勿論奇数メイジでも強力なフィニッシャーになり得るが、精霊が使えない点は注意が必要だ。

カードの強さ: ★★★★★ 採用頻度: ◉◉◉◉◎

大胆な火喰い男

単純に3/1/1敵に3点、精霊と組み合わせて5マナ3体3点。コンボの割にやや心許ないが、ロアとのシナジーを考えればまずまず。呪文ではないのでフロボの代用としてビッグスペル軸でも使用可能な点は良い(といってもウルフライダーと同程度のパワーだが…)。後半に引いてもDK後なら、相手のケアを乗り越えてウォーターエレメンタルを作れてしかも自身もヒロパの的になれる点が優秀だ。

カードの強さ: ★★☆☆☆ 採用頻度: ◉◉◉◎◎

単体で見ればとりわけて強いカードではないけれど、 デッキに期待して採用頻度をちょっと高めに予想。でもメイジは今の環境的になぁ…

火喰い男は過小評価でした。強さを星2個ほど高くつけた方がよかった気がします。 あと何故か精霊を押し気味だったのは自分でもちょっと謎。

ドラゴンホークの精霊 カードの強さ: ★★★★☆ 採用頻度: ◉◉◉◎◎

エレメンタル系もKiblerがよくプレイしていて悪くはないようですが、いまいち主流には届かないのかな。結局DK頼みというか… あとマラクラスはワイルドでは使われたりもするみたいです。

呪術司マラクラス

常に3 or 4枚の手札補充が確約される。というか先行後攻で結構性能差が出るのはどうなんだ。最低でも8マナ実質3ドローに5/5がついてくるというのは勿論強力だが、問題はこのカードを採用するデッキ=コントロールメイジにこのカードを着地させる余裕があるか、という事。ポケットギャラクシーが使われない理由とも似ているし、究極の侵食が何故強いのかもわかる。またコントロールメイジはDKを引いてなんぼなので、このカードを意識してマリガンを変えて結局このカードもDKも引けず…という様な事故も起こりそうだ。断末魔系のデッキに対しての動物変身など、テックカードの枚数を増やせる場合は強力だろう。

カードの強さ: ★★☆☆☆ 採用頻度: ◉◎◎◎◎

パラディン

パラディンはまず奇数がおそろしく猛威を振るいました。新カードはゼロでしたが、やはりハンターとキングスベインローグの流行を受けたメタ的なものだったのでしょうか。レベルアップナーフ後も環境上位に君臨し続けるのは、やっぱり何かおかしい感じがします。ヒロパ依存のデッキ構成のおかげで序盤に全く事故が無いというのがズルい気が。

その他の(新?)デッキとしては、なんといってもOTKでしょう。シャヴァーラ&タイムの嫌な予感は的中しました。

トラのロア・シャヴァーラ

魔力の巨人に似ているが、実際に消費したマナを参照してコストが下がる大型ミニオン。だいたい9マナ相当の能力なので、16マナぐらいは下げたいところ。騎乗は勿論、プリズムレンズ等でワンチャンス狙いながらドローとコストダウンを同時にこなせるのは偉い。ケンゴーと併用可能なラインまで下がれば、大型除去と同時に一気に14点回復する文字通り切り札になる。聖なる怒りコンボが騒がれているけれど、コントロールタイプのパラディンは単体ファッティの除去が非常に不器用なので、単純に挿しておくだけでもかなりの活躍が見込めるだろう。

カードの強さ: ★★★★★ 採用頻度: ◉◉◉◎◎

このカードに寄せた構築は必須なので採用頻度は下げざるを得ないけど、カードパワーはレジェンド級。今のOTKパラディンの単体除去性能上がったらこわいな…とずっと思っていたのでかなり注目してます。

タイム!

アイスブロックとフロストノヴァの中間の様なカード。アイスブロックと比べると事前に貼っておく事が出来ない点と、マリゴス等の極端なバーストを一旦吐かせられないのがデメリット。その代わりダメージゼロで発動可能な点と自ターンも無敵な点がアドバンテージとなっている。特に後者はDK武器で5点まるまる回復したり、ケンゴーと併用して更なる回復も見込める。四騎士回収と同時使用可能なのも脅威だ。ノヴァと比べると終末預言者と併用出来ない点がかなり辛い。ただアグロ相手に5T目に使って6T目に平等聖別など、次Tの確実なボードクリアが見込める場合はカウンターも出来ず強力なカードとなりそうだ。他にも肉食キューブ+デビルザウルスx2+…の様な一手での除去が辛いシーンでも、一旦キューブを武器などで割っておいて次のターンにまとめて除去、という様な選択肢が出来たのはコンパラにとって非常に大事だと思う。

カードの強さ: ★★★★☆ 採用頻度: ◉◉◉◎◎

OTK考えるのは好きだけどプレイするなら断然テンポなので、あんまり好きなカードでは無いです…でもブロックとノヴァの両方の役割がある時点で強いと思う。

どちらも採用頻度ひとつずつ上げても良いレベルです。特に聖なる怒りOTKは決しておもちゃじゃないどころか、四騎士OTKとのハイブリッドもあって驚きでした。緊急時にはシャヴァーラをバウンスで使い回す発想は凄い。またドローの地味な立役者として一閃の光の追加は大きかったと思います。

一閃の光  強い。主にワンドローでの圧縮が強い。

一方で奇数以外のアグロパラディン、特にハッピーグールを利用したヒールアグロパラや海賊パラに期待したのですが、陽の目を見る事はありませんでした。残念。ジカールはOTKデッキで採用されたけれども…

大祭司ジカール

当然ヒールパラディンを使ってね、というカード。装甲獲得後にヒールを重ねれば、パラディンが苦手なダメージ系OTKも回避出来る。このカードが引けたヒールパラディンは文句なしに強いだろうが、引けなかった時がやはり気になる。結晶術師と合わせて3枚…もう1種類だけでも良いから自傷カードが欲しいところ。回復シナジーがなければただの3/3/4なので、ある程度ヒールで固めたデッキでないと加工師ケンゴーの様にスッと差す事は出来ないだろう。

カードの強さ: ★★★★☆ 採用頻度: ◉◉◉◎◎

ブラッドクロー OP。ヒールパラ以外で寧ろ強いまである。奇数も良いけど海賊パラに期待。

凶悪なリクガメ そこそこ強い。ようやくヒールパラ成立出来そう。スタッツも偉い。

そういえば不老不死の大祭司は結局ちょっと使いづらいカードでしたね。ただアンダテイカ、シルバーヴァンガードと組み合わせた不死身挑発のアイディアは非常に面白かったです。

不老不死の大祭司

うまくいけば無限のバリューを得られるカード…しかしこのミニオンを強化するバフと沈黙される前に断末魔を発動させたい気持ちがちょっとちぐはぐな様にも感じる。やはりクエストパラディンで程々にバフして、沈黙の囮にする様な形が良いか。一応動員で招集したりプリズムレンズでバフと一緒にサーチしたりも出来るが、それでもパラディンのドローは心もとない。大したバフがつけられずにデッキに戻った場合も、逆にドロー阻害に成り得る。智慧の祝福がつけられれば多少マシになるかもしれない。

カードの強さ: ★★☆☆☆ 採用頻度: ◉◉◎◎◎

 あと今拡張ではないですが、事前評価が別れた加工師ケンゴーが強力な回復の切り札として活躍している点は嬉しいです。君は強いって信じてたよ。

プリースト

プリーストは相も変わらずマリゴスヴェレン。ギャラリーOTKプリーストはあまり代わり映えしなかった様に思います。ナーフ後はハンター環境も手伝ってドラゴンコントロールプリーストが復権してきました。スペルを絞って幻視から思念撃破を取ってくるので突然のバーストを受ける頻度が更に増えた様に感じますが、強さをぐっと底上げしたのはファイアーツリーの呪術医の追加ではないでしょうか。

ファイアーツリーの呪術医

ワタリガラスの使い魔でわかる通り、2/2/2に実質ワンドローがついてくるなら優秀。使い魔と比較すると発見の部分は一長一短か。樹木学者の様に盤面をセットアップしておく必要もない。ヴーンの直後に発表されたが寧ろドラプリが復権するのに一役買ってくれる筈…質のいいドラゴンの追加が前提だが。ガーゴイルが好きなのでドラパラにも期待したいが、発見で秘策ばかり出てくるなど此方は事故も多そうだ。

カードの強さ: ★★★★☆ 採用頻度: ◉◉◉◎◎

そしてなんといっても集団ヒステリー。

集団ヒステリー

乱闘的なカード。途中で体力が0になったミニオンはアタックしないので、ランダム性が重要になってくる。n体のミニオンが場にいる場合、(泡を吹く狂戦士等の関係でアタック順も重要になるので)最大で(n + n-1 + ... + 1)(n-1) = {n(n+1)(n-1)}/2通りの組み合わせがある。ミニオンが計6体も居れば100通り以上のパターンを考慮しなければいけないので、もしあなたがHSを「完璧に」プレイしたいならかなりしんどいカードだ。実際には、高アタック低ライフが並んでいればほぼ全除去、ファッティが1体その他が小粒ならファッティが残りそうだ…程度の判断で十分だが。5/5、4/4、4/3の様な微妙な並びの時には慎重になる必要があるだろう。仕様を完璧に把握している訳では無いが、自ミニオンがアタックした後にこれで更にアタック出来るなら、一層容易な5マナ全体除去となる。一掃後に場残りが期待出来る断末魔とは相性が良い。

カードの強さ: ★★★☆☆ 採用頻度: ◉◉◉◉◎

ケアとしては大体やや大きめのミニオンを出しておけば良さそうなので、そこまで脅威的AoEではないかも…が、使われて嫌な事には違い無いので現環境の序盤AoEの少なさも相まって密言死やトワイライトの侍祭とセットで採用頻度は高そう。

実際使うと盤面一層出来る事も多いですが、逆に大型ミニオンが処理出来なかった場合、致命傷に繋がるケースもしばしばな印象です。頻繁に見てうんざりする事も有りますが、当て玉用に1マナミニオンを用意しておく、ハイエナをポンと置いてむやみに森林オオカミは出さない、など様々なケアの猶予も残す良いAoEではないでしょうか…少なくとも7マナのアレに比べればずっと。

他のプリースト新カードはあまりぱっとしなかったかもしれません。

怪力乱心 カードの強さ: ★☆☆☆☆ 採用頻度: ◉◎◎◎◎

死の精霊 カードの強さ: ★★★☆☆ 採用頻度: ◉◉◎◎◎

死のロア・ブワンサムディー  カードの強さ: ★★★★☆ 採用頻度: ◉◉◎◎◎

タランジ王女 カードの強さ: ★★★☆☆ 採用頻度: ◉◎◎◎◎

ローグ

色々な意味で今回問題児だったローグ。やらかしたのはぶんどり部隊です。

ぶんどり部隊

3コスト 自分のデッキから海賊を2体引く。コンボ: さらに武器を1つ引く。

海賊限定とは言え、ローグにドローソースはいつだって要注意。武器までついてくる。テンポ海賊ローグなら純粋に南海の船長や息切れ防止の追加海賊を取ってくる事が出来るし、武器ローグの様にひたすらデッキを掘りたいなら呪われた漂流者を引いて更にドローをするという方法もある。ただミニオン限定ドローは吟遊楽人、武器ドローはキラキラ拾いと役割が被るため、1枚挿しにするか序盤をミニオン主体にするか…寄せたデッキ調整は必要そうだ。

カードの強さ: ★★★★☆ 採用頻度: ◉◉◉◉◎

残念ながら偶数ではないので、純正の海賊ローグなら整数で遅めに組んで、一気に展開した後に一斉砲撃、という感じなのかな…まだそんなに強くは思えないけど。

ナーフ前は余裕の2枚挿しでキングスベインローグが猛威を振るいました。もともと前環境から存在していた奇数パラディンが猛威を振るったのは、このベインローグが数多のデッキを上から押さえつけてしまったからではないでしょうか。致死毒のナーフでデッキコンセプトは崩れたものの、アグロに寄せた武器ローグなどはそれでも強力です。ケレセステンポローグでもシャドウブレードと悪辣なる海賊や甲板員と同時ドローで活躍しています。ケレセス後のドローが課題だったのでこのコンボは僕も環境初期から期待していて実際強いなと感じていたのですが、ファルドライを入れて持久戦も見据えた型に落ち着いた様です。同様の圧縮アイディアとしてフックタスク船長での招集を良質な海賊に絞る、というものも実現しましたが、実際プレイした感覚だとちょっと安定性に欠けるかな?という印象です。

フックタスク船長

8/6/3 雄叫び: 自分のデッキから海賊を3体召喚し急襲を付与する。

スタンダードプールでの海賊は雄叫びメインのものが多いものの、デッキのバランスを取ればやっている事は上振れつき動員+急襲。ここに4マナ相当の本体が付くのだから驚きだ。海賊=速いデッキのイメージがあるが、ドローと圧縮を活かしてキングスベインやエレクファルドライなどを後半に据えたデッキの方が良いかもしれない。特に紹介動画の様にダフ屋を招集したり、呪われた漂流者で更にドローを重ねる事も出来る。ラボの採用担当者で一旦海賊を埋めなおして一気に引っ張ってくる方法もあるが、デッキ圧縮を狙う場合は本末転倒な感もある。ダフ屋コピーならギリギリありか。

カードの強さ: ★★★★★ 採用頻度: ◉◉◉◎◎

ぶんどり部隊が強力なだけに、一体何枚海賊入れれば良いんだ感はある。アグロな海賊ローグならこのカード入れるスペースはないかなぁ…という事で比較して採用頻度はひとつ少なめ。

サメの精霊は一時期テンポローグで活躍しましたが、やはりテンポプレイにはちょっとちぐはぐな印象はありました。勿論ケレセス絡みで上振れすれば滅茶苦茶は出来ましたが…サロナイト鉱山奴隷のナーフ後はそんなに見ない気がします。

サメの精霊

発動がほぼ確約されたブラン。ただしスタッツは大幅に弱体化。コンボにも効くのは嬉しいし、追加カードにも期待が膨らむ。5T目雄叫びと言えば菌術師がまず浮かぶけれど、流石に4T目をほぼパスしてミニオン2体を場に残しておくのはかなり難しい。このミニオンに+4/+4しただけではそこまで強い動きとは言えないだろう。改造エレク+精霊が入ればファルドライの蜘蛛が12枚埋められるが、これもミラクルの動きとしては過多に感じる。やはり盤面リセット能力のあるコンボ系のデッキ、特にキングスベインローグで小ぶりのDKとして武器強化を2倍にしたり、楽人で一気に4ドローを狙うのが最も相性が良さそうだ。マイラも一線級のパワーを発揮出来るが、断末魔デッキ自体にはシナジーが薄いかも。個人的にはキノコ酒造師をヒールロボにするのも強いと思っている。ファンデッキ枠だが、エレク+シーフォリウム・ボンバー+ラボの採用担当者で20点分の爆弾を埋めつつ実に12枚ボンバーをデッキに追加するのも邪悪そう。

カードの強さ: ★★★★☆ 採用頻度: ◉◉◉◎◎

そしてここで僕の今回最大の一押し、シェルファイターに言及しなければなりません。

オオアゴガメのシェルファイター

ここがスパム評価の分かれ目。強気に今回のOP候補として推していきたい。…(長いので省略)…

長々と書いたが、このカードの横に置いたヒナ、ゴロツキ、ショー、疾風つき躯、スケイルベインなどは除去が非常に困難になる。マーロックや海賊などの種族シナジーでも活躍が期待出来る。流石に発明家とまではいかないが、こちらは激選区のテンポ5マナ枠でも活躍出来るミニオンではないか。

カードの強さ: ★★★★★ 採用頻度: ◉◉◉◉◎

合計スタッツはバニラ相当なんだし、これ絶対強いよ!もし違ったら、木の(略)

結果は…桜の木下にひざ下まで埋まった様な中半端な感じに。誤解が無い様に強調すると、このカード、やっぱりOPです。冒涜にも集団ヒステリーにも平等聖別にも対応してテンポキープが可能です。定番の奇数ローグのリストの亜種として1枚挿し、人によっては2枚挿しで大会シーンでもよく活躍していて、マロメイジやマロパラといったマーロックデッキでも相当強力です。…なんですが、ラダーだといまいち見ないんですよね。ひとつ問題点を上げるとすれば、シェルファイターで盤面維持→菌術師バフと動いた場合、大抵せっかくバフしたセルファイターがアタックの弱い菌術師2/2本体を守る流れになってしまうこと。アンチシナジーとまではいかないけれど、ちょっと噛み合わせが悪いのかもしれません。逆に言えば、菌術師やスケイルベインがスタン落ちしてしまう次環境以降は一気にパワーを増す可能性はあります。

あとグラルは実は結構強いらしいですが、残念ながらあまり見ませんね。これもまあ、予想通りというか。

サメのロア・グラル

テキストが面白いカード。でもやってる事はわりと手堅い?コントロールに入れた場合、即断末魔を発動しない限りはキーパーツを沈黙で消される可能性があり大変危険。吟遊楽人でのドローの方が安定だろう。ビッグローグだと断末魔が中心になるので、捕食バフがそこまで期待出来ず精霊との兼ね合いも薄い(そもそも精霊とこのロアのシナジーがユニークなものか疑問だが)。かといってアグロ&テンポだと低マナミニオンを食べて貧弱になる可能性が辛いところ…まあ最悪1/3を食べて5/3/5ワンドローでも絶望的という訳ではないので、上振れを期待してミッドレンジに入れる様なカードか。勿論リッチキング等を食べればメチャクチャ強い。4/4程度でも十分OPだ。

カードの強さ: ★★★☆☆ 採用頻度: ◉◉◎◎◎

…なんだか殆ど同じコメントをマイラに書いた気がしなくもない。

シャーマン

今回の早期ナーフが一番残念だったクラスがシャーマンです。Viper選手の開発したピーナッツシャーマンの様なコントロールタイプがシャダウォックと上手く組み合わさっていれば、 もう少し代わり映えしたデッキが生まれたかもしれません。ゼンティーモのパワーには期待していて実際ピーナッツの主軸のひとつではあると思うのですが、あまり表には出てこず、という結果になってしまいました。

ゼンティーモ

エレクトラに続き、非常に柔軟性が高いスペルサポートミニオン。ただし常在効果なのでスタッツはかなり低め。1T以上生き残る事は考えにくいので、出したターンに複数スペルを唱えたいところだ。エレクトラで2回発動したスペルにも効果があるかは非常に気なる点。コントロールだと3体呪術、3体巨拳、3体祖霊、雪崩でほぼ全体3点AOE(中央は6点)3体凍結あたりがとんでもなく強い。特に3体呪術は断末魔、高体力、両方の火山噴火ケアを裏目にさせるパワーを持つ。逆にアグロだと岩穿ち+疾風で最大18点バーストを追加出来るが、流石に盤面を保持した上でパーツ3枚は厳しいか。寧ろ3体大地の衝撃で挑発をこじあけて血の渇きを狙う方が良いかもしれない。トークンは自然に進化軸になるので、大地の力バフや不安定な進化で3体同時進化も期待出来る。(※ゼンティーモ以外に2体しかミニオンがいない時には、ゼンティーモ自体を(最後の1回以外は)進化させない様に注意が必要だ。)

カードの強さ: ★★★★★ 採用頻度: ◉◉◉◉◎

また焼き付く幻視に対しての評価も過剰でした。一応ピーナッツに一枚挿しはされていますが…プリーストの幻視に比べるとやはりランダム性が高過ぎたのでしょうか。

焼き付く幻視

公式のコメントとぱっと見で秘紋と比べがちだがマナの前借りが出来るわけでは無いので、名前の通りどちらかといえば影の幻視に近い使われ方をしそうだ。AoEの補充、3枚目の呪術、その他エレクトラやゼンティーモとのシナジーカードなど。対象がランダムなルーンスピアに引っ張られがちだが、手札に加えるだけならこのスペルを打ったターンに使いやすいものも多い。単純に0マナでプールを絞った発見と思うだけでもマナ効率はかなり良い。幻視ループや遠見での前借り変換も可能なので汎用性は高いのではないか。ハガサから出てきた時が非常に強力なのは言うまでも無い。

カードの強さ: ★★★★☆ 採用頻度: ◉◉◉◉◎

カエルの精霊はアグロシャーマンでの活躍ぶりが想定外でした。環境初期以降は姿を消してしまいましたが、これからも環境が変わってメタが変わる合間を縫ってそこそこ流行りそうなデッキタイプです。

カエルの精霊

構築力がMAXに求められる面白いカード。マナの潮のトーテムや苦痛の侍祭と比べると、最低2枚ドローはしたいところ。トップ次第の通常のミラクルと異なりドロー枚数をある程度予期出来る点は大きい。0→1→2→3→…とドローしても良いが、0マナスペル→1→2、別の1マナスペル→2の様な動きでも良い。1マナを不安定な進化のみにして、0マナ少し、2マナ多め、3マナに幻視その他の様な構築も面白そうだ。問題は一体どのデッキで採用可能なのか?という結論 …エウレーカ!を確定サーチしてマリゴスシャーマンも作れそうだが、正直またマリゴスか感は否めない。進化トークンシャーマンにエレクトラ溶岩爆発の様な駄目押しプランを入れて…いやもしかして大量ドローギミックを入れたマーロックシャーマンか?

カードの強さ: ★★★★☆ 採用頻度: ◉◉◉◎◎ 

(マロシャーとかちょっとわからない事言っている…)

カエルのロア・クラッグヮも、強い…けど滅茶苦茶見るわけでは無い、という評価は妥当だったかもしれません。

カエルのロア・クラッグヮ

本体は4.5マナ相当のスタッツなので、3〜4マナのスペルを2枚も補充出来れば十分優秀な能力。大量の不安定な進化をゲットするのも専用デッキならロマンがあるが、返しにガイストを打たれるまでがセットな気もする。ハンドが溢れて困る事も多いシャダシャーは相性が悪いが、それでも癒しの雨や各種AoEを補充されるとたまったものではないだろう。オバロシャーマンで育てた呪文石を再補充するという手もある。心霊絶叫で巨人4体をたやすくかえすプリーストには有効な手かもしれない。もちろん精霊とのシナジーはあるが小粒なカードばかり再補充してもそこまで嬉しく無いので、使い方としてはライトニングボルト→岩穿ち→溶岩爆発のお決まりの流れからロアでおかわり、といったものが想定されていそうだ。だがロアを打ったターンに相手のヒール/バーストを許してしまうので、フィニッシャーとしてはちょっと心許ない。

カードの強さ: ★★★★☆ 採用頻度: ◉◉◎◎◎

無限シャダ前提の評価でしたが、サロナイトナーフ後もピーナッツで活躍しているのは大変嬉しいですね。アグロシャーマンでも偶に入るのかな?

ウォーロック

前環境に引き続き活躍する偶数ウォーロックやアンチコントロールとしてのキューブロックのデッキはあまり代わり映えしませんでしたが、ここに来てディスカード軸のキューブロックやミッドレンジも登場しました。キーカードはソウルウォーデンです。

ソウルウォーデン

うまく破棄が出来ていれば脅威の6マナ6/6 3ドロー…だが、新ディスカだと戻ってきたカードはおそらく1〜3マナ、捨てても良いと判断したカードばかり。逆に発想を変えて、このカードがあるから旧ディスカでもDKやキーパーツを落とすのを覚悟でプレイしやすい…という方針が案外良いかもしれない。ロマンコンボの無限恐竜術師もこれでずっとやりやすくなる。そもそもの6/6/6というスタッツのパワフルさも好印象だ。

カードの強さ: ★★★★☆ 採用頻度: ◉◉◉◎◎

AOEと除去を詰め込んでこちらはこのミニオンやクエストでパワーリソースを稼ぎつつ、虚無の契約で一気に相手のデッキを落とす…みたいなデッキも組めるかも?

クエストやディスカード特化のデッキでのみの活躍を想定していたので、採用頻度は予想以上だったと思います。勿論クエストも、このカードとジェクリックのお陰でついに(Tier1とはいかずとも)実戦レベルまで這い上がりました。涙が止まらない。

女大祭司ジェクリック

やけになったラナセルさんが4マナ公爵と一緒に大反省会して祭司になって帰ってきた姿。最初からアタック3で、挑発もついていて、しかも狙ったディスカでもりもり増やす事も出来る。クエストを達成する頃にはライフもハンドもかつかつのクエストウォーロックには本当に砂漠のオアシスの様なカード。おそらくハンドバフも持続するので、ハンドバフ軸とディスカ軸のちょうど橋渡しにもなっている…が、中途半端にハンドバフ要素を採用するかどうかはやや難しいところ。実は斧死なる断罪者でも確定バフ可能なのは面白いが。後はもしかすると、ジリアックス躯の駆り手型のデッキでディスカシナジーを無視して採用される可能性も。

カードの強さ: ★★★★★ 採用頻度: ◉◉◉◎◎

ク◯デッキ愛好家としてはラッカリの生贄が環境入りしたら感涙です。環境入りしたらだけど。

単純に躯バフに使うというアイディアもどこかのデッキリストで見た憶えがあります。

一方でハンドバフズーはさっぱりでした。予想通りというかどこまでいってもハンドバフというか…

コウモリの精霊 カードの強さ: ★★☆☆☆ 採用頻度: ◉◎◎◎◎

コウモリのロア・ハイリーク  カードの強さ: ★★★☆☆ 採用頻度: ◉◎◎◎◎

ただ人身御供だけは、Dogズーとして稀に環境で見る事もあります。

人身御供

全体バフなのにミニオンの数を減らすというなんとももどかしいカード。蓮華紋のOPっぷりを考えるとちょうど良い調整には感じる。今のヒールZooは手札消費の激しさの割にトークンが多いわけでもなく、5T目の菌術師着地も重要な為、そんなに相性が良い様には見えない。もっと横展開に特化したZooでならチャンスはありそうだが、代わりに虫害に弱くなり折角のドルイドへの有利を失ってしまうのは気になるところだ。ロアがもう少し軽かったなら… もうひとつ大切そうなのは、リロイ、ドゥムガ、魂の炎、ライフドリンカーに次ぐリーサルダメージに使える点。リロイでフェイスを攻撃した後そのままリロイに打てば、1マナ3〜4打点を見込めそうだ。

カードの強さ: ★★★☆☆ 採用頻度: ◉◉◎◎◎

卵型の捕食ロックは、他にアドを得ながら割る手段が豊富なのでどうだろ。クエストウォーロックも…うーん。

もうひとつ、メックトゥーンウォーロックでの小狡い足噛み魔の採用は完全に盲点でした。このカードはハッピーグール踏み倒し用にヒールアグロパラ等で使われるかも、程度の印象だったので、呪文石&冒涜とのシナジーに単純な生命奪取のパワーを侮っていました。

ウォリアー

相変わらずの奇数ウォリアーとはいえ、純正、ドラゴン型、クエストと新カードでいくつかのタイプが登場したのはなかなか面白かったです。クエストとそれ以外は結構マッチアップが変わるのは良くわかりますが、純正とドラゴンだとどれぐらい差があるんでしょう?(あまりわかってない)

スモルダーソーンの槍騎兵

3/3/2 雄叫び: 自分の手札にドラゴンがいる場合ダメージを受けている敵のミニオン1体を破壊する。

止めの一撃内蔵ミニオン。奇数ウォリアーでも使える点は嬉しいが、ドラゴン軸を今の完成されたリストに追加していくのはあまり現実的ではない。一応コライダーやダイノマティックで1点を出せるシーンもあるだろうが…。おそらくは新しいタイプのドラゴンコントロール(テンポ?)ウォリアーを推してくるのだろうが、レジェンド主将や追加ドラゴンが発表されないうちは強さは未知数だ。

カードの強さ: ★★★☆☆ 採用頻度: ◉◎◎◎◎

今の段階だとなんともいえないので、暫定的な評価。雄叫びが発動出来れば超強力なのは間違いないけど…

エンバースケイル・ドレイク

5/5/5 雄叫び: 自分の手札にドラゴンがいる場合、装甲を5獲得する。ドラゴン。

地味な能力だが地味に活躍する…のか?同じ5/5/5ならコバルトスケイルベインで良い上に、もし急襲テンポ寄りに組むなら5マナ帯は更にダリアス、ジリアックス、場合によってはコライダーやアルカナイトリーパーまで争う枠になってくる。よっぽどドラゴンに寄せたデッキかかなり遅いコントロールでないと、スケイルベインを押しのけてまで入る事は出来ないのではないか。マナ的にやってる事は強いのだが。

カードの強さ: ★★★★☆ 採用頻度: ◉◉◎◎◎

ヴーンと槍騎兵が強いのは確かだけれど、今の(奇数)ウォリコンのデッキスタイルに崩す余地があるかというと…うーん。

ドッカンドラゴン

7/7/4 雄叫び: 自分の手札にドラゴンがいる場合、敵のミニオン1体に7ダメージを与える。ドラゴン。

評価が非常に悩ましいカード。普通に考えると7マナにも関わらず3マナミニオンにも除去されてしまうので、多少横並びするデッキにはすぐにとられてしまう。一方でアージェントの司令官や(アリーナでの)ギルニーアスの近衛兵の強さを考えると、テンポ取りにはかなり優秀なカードにも思える。少なくとも6/5程度のスタッツだったら文句無しの高評価だったろう。単純にデッキに採用する事はないが、単体除去がいまいち足りないドラゴンデッキになら十分採用可能、といったところか。ヴァイルスパインスレイヤーに及ばないとはいえ、対魔法障壁やティランタス等にもある程度対応出来る点は大きい。これもドラウォリよりもドラプリやドラパラ向けのカードに感じる。

カードの強さ: ★★★★☆ 採用頻度: ◉◉◉◎◎

ドラシナカードは全体的に、採用頻度が過小評価気味だった様です。ヴーンやアカリは残念ながら偶数なので…

戦将ヴーン カードの強さ: ★★★★★ 採用頻度: ◉◉◉◎◎

サイのロア・アカリ カードの強さ: ★★★☆☆ 採用頻度: ◉◉◎◎◎

一方クエスト型の奇数ウォリアーですが、今回もっとも関心したのがこのデッキです。コアカードはウーンダスタ。

ウーンダスタ

今の環境デッキならまず断末魔ハンターで採用したい強カード。手札に来てしまった大型獣を、マナを踏み倒しながら出す事が出来る。出すタイミングを逃してしまった大型バ獣を召喚しても良い。リッチキング等に1点届かないのが惜しいが、血祭を発動させるためにいずれにしろ調整は必要なのでそこまで気にならないかもしれない。ただこのカードの為にグリズリー等を手札で温存するのも本末転倒なので、効果を発揮出来ない事も度々あって確実な採用まではいかなさそうだ。ロアが(だいたい)獣なのもあって、他のクラスでも採用可能なのはなかなか面白そう。一風変わったところだと似姿やラボなどでこのカードを増やして連続召喚もロマンがある(強いとは言っていない)。

カードの強さ: ★★★★☆ 採用頻度: ◉◉◉◎◎

9マナミニオンの実力は結構シビアなところがあるので、微妙なスタッツの低さは気になる。隙が少ない点は大きく評価したいけど、手放しに褒める性能とは良いづらいかも…

前評判は断末魔ハンターがやばすぎる、いやドルイドだ…という感じで過大評価気味だと思っていたのですが、奇数ウォリアーでの採用は本当に目から鱗でした。まさかバクを強いと感じる日が来るなんて。そしてもうひとつ強力な相棒となったのが、今回のダークホース、アマニの戦熊です。

アマニの戦熊

急襲と挑発は嚙み合っているのかいないのかピンと来ないが、アッシュモアやお触れ役のドロー候補が増えたのはちょっと面白い。サイコメロンで引く事も出来るが獣がついているので挑発ドルイドには入れられない。悪くはないが環境入りまではどうしても届かないタイプのカードか。

カードの強さ: ★★★☆☆ 採用頻度: ◉◎◎◎◎

でもこういうミニオンをあえて使いたがる捻くれた人っているよね。僕です。

もし今回ランキング形式にするとすれば、大外れ大賞は間違いなくこのカードです。ナーフ前はアンダテイカ型の挑発ドルイドに入っていたりもしました(このカードの発表はアンダテイカの前だった気がします)。完全にアリーナ専用ミニオンだとばかり…急襲挑発はだいたい強い、学びました。

ちなみに"闘技場で強い"系だと盲目のレンジャーと前線崩しの前評判が結構良かったですが、ラダーでは殆ど見ませんね。

盲目のレンジャー

相打ちだとたとえ血祭が発動しても捕食の時間の劣化版。2/2や3/2スタッツのミニオンを取って初めて採用価値のあるカードといえる。ジリアックスは勿論、幽霊戦馬と比べても厳しいものがある(幽霊戦馬自体が決して弱くは無いが)。アッシュモアでドロー出来る事を活かして、さらに追加で血祭サーチなどが出た場合に1枚挿す様な事はあるかもしれない。かなり後ろ向きな採用理由だが。

カードの強さ: ★★☆☆☆ 採用頻度: ◉◎◎◎◎

トーテムとか精霊を取りつつソフトトーントとして…いやちょっと無理あるかな。 

前線崩し

このミニオンでアタックして生き残り、もう一度アタックした時に効果を発揮し得る…つまり激怒と使い勝手は殆ど同じで、構築で見る事は少ないだろう。スタッツ自体は優秀なので、例えばボーンメアを入れているのにどうしても7マナにしっくり来るカードが無い時には検討の余地があるかもしれない。あまりその様なデッキは想像出来ないが。

カードの強さ: ★★★☆☆ 採用頻度: ◉◎◎◎◎ 

とにかくスタッツは優秀なので、アリーナで暴れるやつ。

終わりに

…という訳で2週間ぐらいかけながらダラダラ環境振り返りの記事を書いてみましたが、そうこうしているうちにもう次のナーフが。いろいろ意見はある様ですが、なんだかんだでまたメタが動いていくのは楽しみです。偶奇ギミック(特に偶数)も僕は好きです。ナーフ後環境が固まったらもう次のHS年が…また次回も環境予想&振り返り、やっていきたいですね。

それでは最後に、今拡張のMVPを紹介して終わりにしたいと思います。

モジョー使いジヒィ

心霊絶叫やフレスト、そしてマナ加速からの究極を狙っていた相手の計画を壊滅させる、コントロール(OTK)殺し。性能としてはネルビアンの解絡師が近いが、出した瞬間にロックが確定してしまう点はおそろしい。スペル以外にもDKや始祖ドレイク、リッチキングが遅れる点も非常に大きい。自分のマナクリスタルも勿論5に下がるが盤面は維持され続けている点に注意したい。中盤にボードが最も強くなっている状況、次の自Tが6マナな事を想定すると、偶数シャーマンが一番使いやすそうか。偶数パラディンも十分採用可だが、もう少しだけ遅いデッキの様にも感じる。新しいデッキなら獣ハンターや、怪力乱心を入れたアグロプリーストも強ちスパムではないかもしれない。何も考えずにプレイするカードではない点も好感が持てる。

カードの強さ: ★★★★★ 採用頻度: ◉◉◉◉◉

何よりロウゼブスタッツが心強い(1マナ多いけど)。こういうカードを待っていたので満点。

ラダーでは本当に面白くて良い活躍をしてくれます(メックトゥーン系に露骨に投げるのは単純過ぎてちょっとつまらないですが)。カジュアルでネt…ロマンコンボを妨げてくるのはご愛嬌。

という訳でヴドゥ祭の優勝者は、たぶんジヒィ!でした。

それではまた、来年度の新拡張で会おうさー!かたにゃこぉりごりさー